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zoom RSS 抱卵交代

<<   作成日時 : 2017/06/26 21:05   >>

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夏の北海道に行くなら、6月から7月初めまでがお薦めですね。
夏休み期間に入ると観光客が多くなるし、花の季節は7月中〜下旬でおおむねおしまい。「原生花園」も8月になると「原生草園」になってしまいます。(^^;

だから、というわけではないですが毎年6月に訪れる道東。
この時期は生命の躍動する時期でもありますね。
多くの動物たちが子育てに忙しい季節。
タンチョウたちも生まれたヒナの子育てで大忙しです。

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タンチョウは普通、4月から6月にかけて二個の卵を産み、それが孵るまでの期間はおよそ一ヶ月。孵ったヒナは生後100日ほどで親と同じ体格に育ち飛べるようになります。
ですから6月という時期は湿原のあちこちで子連れのタンチョウが観察できる頃で、私たちが撮影にこの時期を選んでいるのもそれが理由です。

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内陸部では本州なみに気温の上がる地域も多い北海道ですが、タンチョウの夏場の繁殖地である釧路・根室地方の海岸線や湿原は、この時期朝夕は濃い霧に覆われ気温は6〜7℃にまで下がります。関東や中部・関西の感覚で言えば「冬」に近い。ですから撮影には防寒用の上着が必須です。撮影のメインは早朝ですから早く宿を出なければなりませんが、この時期の日の出は朝3時半過ぎ。ハンパな早起きでは写真撮れません。(^^;
でもそんな早起きをして見る朝霧の風景、幻想的です。遠くにタンチョウの番(つがい)が霞んで見えるのわかりますか?

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今年はワタスゲ群落がきれいでした。
霧が薄らいだ湿原の上を飛んできたタンチョウ。

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産卵・子育てを始めてもなんらかの理由でヒナが育たないこともあります。キツネやトビなどに卵やヒナを襲われてしまったり、あるいは寒さでヒナが凍えて死んでしまったり…自然界の掟とは本当に厳しいものですね。そうやって子育てが失敗した番は、その年の繁殖を諦める場合と「Take2」を試みる場合があります。多くの場合、二回目まではトライすることが多いようですね。ですから6月になっても卵を抱いている番がいたら、その多くは一回目の繁殖に失敗した番だということになります。
とある湿原で、そんな番に出会いました。

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ちょうどノハナショウブの青い花が咲き乱れる湿地帯。
緑の草の中にチラリとタンチョウの白い頭とクチバシが見えるのがわかりますか?
あの下に巣があり、あのタンチョウは座って卵を抱いているのです。

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時折立ち上がり、下を向いて何やらゴソゴソ動く仕草。
これは「転卵」といって、鳥類のほとんどに見られる行動です。
殻の中で受精卵が育つときに、同じ位置のままで温められるとヒナの胚になる部分がうまく育ちません。そこで時々卵の位置を変えてやるのです。さらに、その胚自体も呼吸しているので時折新鮮な空気に触れさせてやる必要があります。親鳥の体温で卵の温度が高くなりすぎると胚が死んでしまうこともありますから時折冷やして温度を下げて調節するわけです。これを「放冷」といいます。
もちろん、ずっと座りっぱなしで足がシビれるのでちょっと親鳥も伸びをしたいというのもあるのかもしれませんが。(^^;

そうやって親鳥が卵を抱いていると、いつしかもう一羽の親鳥がゆっくりと近づいてきます。
抱卵交代の時間のようです。

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タンチョウに限らず、鳥類の多くは抱卵を含めて子育て全般を雌雄共同で行います。これが哺乳類になると子育ては雌に任せっぱなしで雄は気楽に?歩き回っているというのが多いのですが(人間もそういう人多かったりして)、卵生と胎生の違いでしょうかね。「卵」から「ヒナ」への段階を踏まなければならない鳥類は夫婦が協力しなければ子育てが難しいのかもしれません。だからこそ夫婦の絆は強い。言い換えればタンチョウを含めて鳥類の雄の多くは「イクメン」なのです。人間も見習わないと。(^^;

だから卵を抱くのも夫婦の共同作業。おおよそ4時間から5時間交代で夫と妻が交互に卵を抱きます。
自分の餌も獲らなきゃいけませんし、シビレた足を延ばす?時間も必要でしょう。
交代者が巣に近づいてくると二羽はともに立ち上がって、長い間愛を確かめるように鳴き合いをします。

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コーカッカ、コーカッカ…と夫婦の鳴き声が湿原にこだまします。これが交代の儀式のようですね。
やがて役割を交代した番は位置を入れ替えて。

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「それじゃしばらくお願いね」
「よし、任せておけ」
そんな会話があったんでしょうか。

交代で巣についた親鳥は再び転卵を行い…

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座り込んで卵を抱きはじめます。

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この抱卵交代、実際にはなかなか目にすることができないんですが、今回はプロの写真家でもある宿のオーナーが事前に情報を取ってきてくれていました。
もっともこの場所は宿からクルマで二時間。100km余りを走破してたどり着いた場所。そして着いてから交代シーンを見るまでひたすら三時間以上じっと待ちました。ネイチャー撮影は忍耐、忍耐、ひたすら忍耐…です。(^^;
私自身、タンチョウ撮影11年目で初めて抱卵交代をこの目で見ることができました。
この卵が孵ってヒナになるのは7月。飛べるようになるのは10月。秋の越冬地への移動までギリギリ間に合いそうですね。
なんとか無事に育ってほしいものです。

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帰り道、繁殖に失敗した番が二羽だけで踊っているのを見ました。
この番はもう今年の繁殖は諦めたようですね。本当に自然界は厳しいです…。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
ひたすら待つんですね。

無事、ヒナが育っていくといいですね。
猫ねこネコ
2017/06/26 22:49
学生の頃は、「プロはフィルム代なんか気にしないでバシャバシャ撮れるんだもの、いい写真が撮れて当たり前」と羨んでいましたが、バシャバシャだけではいい写真が撮れないぞと気が付いたのは、もう少し先のお話し

最後の写真、普通に見れば「つがいで踊る素敵な写真」ですが、訳を知ると切ないですね〜
マーシャの乳母や
2017/06/27 01:08
こんばんは。
タンチョウたちの生態、物語を知って、写真を拝見すると、グンと深みを増してきますね。胸に迫ってきます。
毎日ばらいろ
2017/06/27 21:30
猫ねこネコさん
タイミングの問題でしょうね。私たちが着いた時はその前の抱卵交代が終わったばかりだったようです。一時間早く着いたらすぐ見られたかも…。
あれから1週間。もうヒナ孵ってるかな〜。

マーシャの乳母やさん
いくらたくさん撮ってもいいカットを撮るにはある程度の下調べと準備が要りますね。出逢いがしらでナイスショット、というのはそれこそ宝くじ当てるようなもので。(^^;
あの番のダンスはどこか物悲しいものを感じましたね。来年こそはかわいいヒナをもうけてほしいです。

毎日ばらいろさん
タンチョウ撮り始めて3〜4年目ごろから生態に興味を持ち始めていろいろと本を読むようにもなりました。そこで得た知識がかなり撮影にも役立っています。同時に愛着も湧いてきますね。
草凪みかん
2017/06/28 20:58

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