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<<   作成日時 : 2017/09/16 21:25   >>

驚いた ブログ気持玉 23 / トラックバック 0 / コメント 2

大型の台風18号が接近しています。明日にも九州に上陸し西日本を縦断するコースのようです。進路に当たる地域の方々は充分に警戒をなさってください。大きな被害が出ないことを祈ります。

9月も半ば。西からは台風が近づくかたわら、北海道の大雪山系ではまもなく紅葉のピークを迎えます。その紅葉はあと半月ちょっと、10月半ばには鶴居村・阿寒町といった道東の丘陵地帯に下りてきます。
湿原で夏を過ごしたタンチョウたちが越冬地の里に戻り始めるのはその頃。この春生まれたヒナたちはもう親と同じくらいの体格になり飛べるようになっています。親鳥の番が里に戻るタイミングを測っているのが今の時期。

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10月前半の広葉樹の紅葉から11月初めのカラマツ紅葉までが秋のタンチョウ撮影には最適の時期。早朝の放射霧の中に佇む姿やデントコーン畑で舞う姿、あるいは真っ赤に色づいた丘をバックに飛んでいく姿は他の季節にはない美しさがあります。

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今年はカラマツ紅葉の時期に合わせて鶴居村に行こう…そう思っていたのですが、ここに来て突然11月初旬に大きなお仕事が入りそうな情勢で秋のタンチョウ撮影に行けるかどうか微妙になってきてしまいました。(-_-;)

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もともと「今年は広葉樹ではなくてカラマツ紅葉!」と決め込んで日程を10月末か11月初旬に絞り込んでいたので広葉樹紅葉の時期である10月前半には瀬戸内行きの予定をもう入れ込んでしまったんですよね。今更日程変更は難しいので、このままだと今年の秋タンチョウ撮影はパス、ということにもなりかねません。
まあ、お仕事あっての趣味ですから仕方ないんですが…。

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さてタンチョウはおおむね4月から10月までは湿原で、それ以降3月までは越冬地である里で過ごします。11月から3月までは鶴居村や阿寒町、音別町などにある給餌場で人による給餌を受けるのですが、この給餌の量が最近は徐々に削減されています。
もともとタンチョウの冬の給餌というのは、戦後総羽数33羽という絶滅寸前にまで追い込まれたタンチョウを保護するため、湿原で自然採食が困難になる冬季間に限ってコーンを与えていたものが常態化したものです。
今では総数1300羽を超えて絶滅の危機からは一応脱しつつある状況ですが、「半分ヒトが手を貸している」状態であることは否めず、そういう意味では完全な「野生」であるとは言い切れないという見方もあります。

1300羽という数。実は現状での道東、特に釧路湿原の状況から考えると夏場の繁殖地での状況はすでに「過密飽和状態」であると指摘する人もいます。タンチョウの番が構える「なわばり」は数平方kmに及びます。湿原の一部が一時農地化が試みられた結果乾燥してしまい、タンチョウの居住環境に適した地域が激減してしまったため本来の居住環境でない場所へ営巣することも増え、それによってさまざまな問題が起こっています。

そこで湿原再生をはじめとした自然環境の復元整備が十数年前から始められ、さらにタンチョウのヒトへの「依存」の度合いを薄めて少しでも野生に戻せるよう、給餌場での冬季の給餌量を毎年1割ずつ削減していくという計画が進行中なのですが…最近、私は「それで本当にいいの?」と思うようになりました。

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多くの専門家の方々に言わせると「狭い地域にタンチョウが密集している状態はいいとは言えない。鳥インフルエンザが蔓延したりした場合に一気に絶滅してしまう可能性もある。それを防ぐためには生息地を分散して道東だけではなく道央や道南にまで広げてやる必要がある」というのですが…。
確かに仰ることはもっともです。しかし、十数年という短いスパンで物事を性急に進めていいものかどうか?

自然環境の復元整備のおかげで冬場でも採餌可能な場所が増えたことは事実です。しかし、だからと言って冬場の給餌量を一方的に削減することが生息地分散に直結するかどうか非常に疑問です。専門家の方々は道東や道南あるいは道北への分散を考えておられるようですが、繁殖地としての自然環境が整っているとしてもそこに住む人々との兼ね合いまでお考えでしょうか?

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最近ではTVなどでもよく取り上げられるようになりましたが、鶴居村では初夏のタンチョウによる「食害」に毎年のように悩まされています。縄張りを持つ成鳥の番は春になれば湿原の自分たちのテリトリーに戻っていくのですが、その前年に生まれたばかりの若鳥はまだ自分の縄張りをいうものを持たないため、子別れで親鳥から突き放された後は、成鳥たちの縄張りの合間を縫って時には追い払われながら過ごすことになります。パートナーを見つけて自分の縄張りを構えるまでの間は…。

すると中には、というか毎年のように必然的に湿原からはじき出されて鶴居村に舞い戻り、春から初夏に畑に植えられた作物の芽を食い荒らす若鳥が数多く出てきます。もうこれは数十年前から起こっていること。ですから冬場は観光客に持てはやされるタンチョウも、初夏の頃には地元農家の人たちからは「困りモノ」の扱いを受けます。大声で農家の方がタンチョウを追い払うというのが日常的な光景。

これはある夏の雨の日の光景。小雨の中を歩く親子。

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彼らが歩いているのはとある牧場の中。

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やがて彼らが足を停めたのは飼料タンクの前。

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実はこのタンクには牛のエサとなるデントコーンが茎ごと粉砕されたものが入っているんですが、この親鳥は器用に嘴でレバーを操作してコーンをタンクから落とし、それを親子でついばんでいました。

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そこへ牧場主が現れ「こら〜!」と叫んでタンチョウ親子を追い払います。
話を聞いてみると「いつものことだけどね」と苦笑いしていましたが。

でもこれ、長年タンチョウとともに暮らしてきた鶴居村の人たちだから「こら〜!」と追い払う程度で済んでいるんですよ。
「この村はツルと一緒に人が暮らしてきた村だから。ツルが居るから鶴居村なんだから」という地元農家の方が言う通り、「毎年のことだから仕方ないよな」という程度で。

でももし、仮に生息地分散が成功したとして新しい場所にタンチョウたちが繁殖を始めた場合、彼らが自然採食のみで暮らすという保証はありません。近くに安易に採餌できる畑があれば当然そこで「食害」が起こることは充分に予想されます。そうなった時、そこの農家の方々は鶴居村の人たちのように「毎年のことだから仕方ないわな〜」で済ましてくれますかね?
「害鳥」の汚名を着せられてしまうのではないかと心配です。
学者さん、そこまで考えてますか?
「専門バカ」という言葉がありますが、どうも学者というのは自分の専門分野に関しては優れた学識をお持ちですが、物事を多角的に見るということができない人が多いような気がします。特に自然科学者には社会科学的なものの見方ができない人が多い。もう今の日本は「人間」の存在抜きに物事は考えられないということにあまり神経の行ってない人が多い。江戸時代とは違うんだということを認識してほしいですね。

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長期的には生息地分散が必要だということはわかります。
しかしあまりにも性急にそれを進めようとすることが彼らにとって本当にいいことなのかどうか、もう一度立ち止まって考えてほしいと思います。少なくとも半世紀あるいは一世紀をかけて行う施策ではないでしょうか。
「やっつけ仕事」じゃあるまいし20年や30年でそれをやろうなんてことは自然と人間社会の両方を甘く見ているようにしか思えないんですよね、私には。

本当にタンチョウと人間が共生していく道は何が最善か、そしてタンチョウの生息数維持のためにはどうしたらいいのか。このことはもっと腰を据えて考える問題だと私は思うのです。

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的外れな例ですが、日光などで観光客集めに猿に餌やりして、その猿が土産物屋や観光客にいたずらするから餌やりをやめる
全く身勝手なことです。人間の身勝手で振り回すのはいい加減やめなくてはいけません
マーシャの乳母や
2017/09/24 23:40
マーシャの乳母やさん
野生動物が人間と軋轢が生じるようになったのは、彼らのせいじゃない…すべて人間のせいですよね。それを棚に上げて机上の計算だけで「ああしよう、こうしよう」。正直言って「愚者の浅知恵」だと思います。
「彼らをどうするか」よりも「自分たちがどうするか」を考えてほしいです。今この瞬間にも開発による土砂で釧路湿原の面積は刻一刻狭まっていくのに…。
草凪みかん
2017/09/25 21:35

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