子別れ

春先、越冬地から繁殖地に移動する直前になるとタンチョウの夫婦はそれまで育ててきた子供を突き放します。いわゆる「子別れ」です。
そのため、その時期の給餌場を訪れると周囲に親の姿もなく一人でポツネンとしている首筋の茶色い幼鳥の姿をよく見かけます。一人遊びで飛び跳ねている姿もどことなく淋しげ。

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もっともこの子別れ、ある日突然起きるわけではありません。2月の中頃くらいから徐々に親鳥は子供に対してよそよそしくなっていき、やがて近寄ってきた子供を「あっちに行け」とでも言うように軽くつつくような動作を見せます。そのとき幼鳥はとまどったような表情を。
「お母さん、なんでボクを突つくの…?」

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3月に入ると突き放しの行動はエスカレートしていき、時には激しい攻撃で子供を追い払うこともあります。幼鳥は悲鳴を上げて逃げ惑うことも。
そしてある日、親鳥の夫婦は子供を給餌場に置き去りにして繁殖地に飛び立っていきます。残された幼鳥は後を追うことはしません。おそらく自分が独り立ちしなければならない時だということをわかっているのでしょう。3月半ばになると給餌場から大人のタンチョウの姿が消え、いくばくかの若鳥と幼鳥だけが残ります。やがて彼らは子供たちだけでグループを作り行動するようになっていきます。このため、首筋の茶色い幼鳥同士が何羽か一緒になって飛んでいる、という姿もよく目にします。

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ただ、こうやって給餌場に置き去りにされるケースはまだ幸いかもしれません。なぜならすぐそばに同じ境遇の仲間がいますから。さみしい気持ちもまぎれるでしょう。
悲惨なのは繁殖地の湿原まで親と一緒に帰り、そこで子別れを迎えるケースです。生まれ月の遅い幼鳥の場合によく起こるケースですが、その場合親鳥は激しい攻撃で子供を自分の縄張りから追い払います。広い湿原で追い払われればまさに「独りぼっち」。途方に暮れることになります。多くの場合あちこちを彷徨いながら給餌場に逆戻りしたり、大人の縄張りの合間で逃げ回りながら暮らしたり、ということになります。下の写真は湿原近くの道路にさまよい出てきた幼鳥二羽。兄弟なのか、それとも同じ境遇の仲間と偶然出会ったのか…。

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これから次の冬を迎えるまで、彼らは茨の道を歩きながら徐々に成長し大人への道をたどります。一人で生きる術を身につけなければ野生の世界では生きていけない。彼らの親も、そのまた親も同じ道を歩んできたのだから…。初めての夏を過ごし再び雪の季節になるころには彼らの茶色い首の毛も黒く変わりりっぱな若鳥になります。
春、そんな彼らの姿を見ると「がんばれ!」とエールを送りたくなりますね。

さてこの「子別れ」、さまざまな野生動物で見られますが、人間社会の中で暮らす猫の場合はどうなのでしょうか?これについては私はまったく知識がありませんが、二年・三年たっても親子が連れだっているケースもあるようでタンチョウやキタキツネのような明確な「子別れ」という現象はないようにも見えます。

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ただ、猫でもある年齢に達すると追い払いはしないものの、甘えようとする子供に軽い威嚇行動を示すようなことはあるそうですね。
「いつまで甘ったれてるの!」っていうことでしょうか…。
そういえば最近、空と雲の兄妹から母親の愛ちゃんがちょっと距離を置くようになったような気がしますね。
この兄妹、もうすぐ満一歳を迎えます。

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この記事へのコメント

2016年03月17日 14:36
姉猫は、妹たちが生まれるため、母猫は威嚇するように。仕方なく親離れをしました。2日ほど姿を見せなくなったのですが、お腹が空いて戻ってきました。
弟猫が里子に行ってからは、威嚇されないように。なので、親子と言うより仲間の関係。母猫と妹猫はいつまでも親子関係です。
2016年03月18日 21:32
猫ねこネコさん
次の子が生まれると先に生まれた子はちょっと突き放す、という感じでしょうか。「あんた、お姉ちゃんなんだからガマンしなさい!」ってな感じで。末っ子は得ですね。(^^;
本能で一番弱い子供=年少の子を守ろうとするのかもしれません。

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