国民性

熊本の地震、依然として収まる気配を見せませんね。
避難所暮らしをしている方々の心労は察するに余りあります。八代に三十年来の写真仲間がいます。いや、「仲間」というのは恐れ多いかもしれません。私より一回り上。まもなく古希を迎えようという大先輩ですが…。
その方も避難勧告を受けて水曜日に避難所へ。昨夜、電話が来ました。体力的にももちろんつらいですが、特に年配者にとって雑居環境というのは精神的にかなりこたえるものです。「自分だけがわがままはいえないし…」
そうですよね。
幸い鹿児島におられる息子さんが土曜日に迎えにきてくれるそうです。しばらく息子さん夫婦の家で暮らすとか。
高速は不通、国道は渋滞なので移動も大変だとは思いますが。
「またSL撮りにこっちに来なよ」と先月言ってくれたばかりでしたが。

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甚大ともいえる被害。
それでも、そんな中でも人々の心は荒んでいない。
東日本大震災のときもそうだったけれど、精神的肉体的にあれほどのダメージを被っても他人を思いやる心を持っている。避難所でわがままを言う人はいない。騒ぎ立て、泣き叫び、怒りをあらわにする人はいない。心の中でどんなに泣きたいと思っても、それを穏やかな表情の中に押し隠してしまう。
これは日本人の誇るべき特性と言っていいでしょう。災害が起こるたびに外国人の方々が最も驚くのはこの点だといいます。「なぜ日本ではパニックが起きないのか?」「他の国ならば必ず略奪・暴動が起こるのになぜ日本では起きないのか?」

ひとつには、日本人は自然災害に慣れているという点があるでしょう。有史以来、大地震、噴火、水害…あまたの自然災害に見舞われてきた日本。そもそもそういう環境の島国に住んでいるんですから、天災に遭うことは避けられないということはもうDNAに刷り込まれている。だから「仕方がない…」という言葉が出てくる。この「SHIKATAGANAI」という日本語は一時期諸外国で話題になりました。日本人独得の感性だと。

そして数千年来島国の中で暮らしてきていると、やはり大陸国家の方々よりも心に余裕ができてくるのかもしれない。陸続きだと何時外の国から攻められるかわからない。でも海が自然の障壁になっていてめったなことでは外から攻められることはない。同じ島の中で多少の「ケンカ」は起こるにせよ、相手方を徹底的に殺戮するような戦いは起こらない。外国から見れば所詮「兄弟げんか」の程度。例を上げれば「将棋」。
日本の将棋は独特だと言います。チェス・中国将棋など将棋と同じようなゲームは世界中に存在しますが、「取った駒を『持ち駒』として再使用できる」のは日本の将棋だけです。チェスや中国将棋では取った相手の駒はそのまま「取り捨て」。だからチェスも中国将棋も自分と相手とでは駒の色が違う。チェスは白と黒。中国将棋は黒字と赤字。古代の大陸での戦争は勝った側が負けた側を奴隷にするか皆殺しにするか。しかし異民族を交えない日本人同士の戦いではそうなることはまずありません。「敗者に情けをかける」あるいは「敗軍の将を取り立てて味方につける」というのが当たり前でした。それが「持ち駒」というルールに反映されたのではないでしょうか。

長い歴史の中で、戦いの中でさえも時に相手を思いやるという感性を宿してきた日本人。それがいつしか、自己主張を控え集団の中で和を求めるという民族性を作り上げて来たのでしょう。もちろん、それをよく言う人もいれば悪く言う人もいるでしょう。実際に長所・短所とも伏在していると思います。しかし、この大災害に際してその国民性に寄って立つ「自制力」が被害を広げるのを防いでいるということは確かです。今は自分が少々我慢しても皆のために…それが結局回り回って自分のためにもなるのだから。そう素直に考えることができるのは日本人の誇るべき特性だと思います。

一頃流行った「KY」=「空気が読めない」という言葉もこの国民性とは無縁ではないような気がしますね。「空気を読む」ということが良くも悪くも日本の市井で暮らすうえで大切なことだと言っているのですから。「KY」というのは一見若い人の流行語のように見えて、その実は恐ろしいほど日本の伝統に根差した言葉なのかもしれません。

だから日本人は国際社会で損をしている、という見方をする人もいます。自分の主張を声高に発しないから。でも日本ではお互いが自制することが回り回って自分のためになる、ということを長い歴史の中で学んだのです。狭い入口に押し合いへし合いして我先に入ろうとするよりも整然と行列を作って順番に入った方が最終的には効率的だということを。「ウサギとカメ」の話は元々は西洋の寓話だったそうですが、日本人に好まれる話として定着したのはそんな国民性と合致するせいかもしれません。

とはいうものの…これだけの大災害。
罹災された方々の心はある一定限度の限界を超えると折れてしまいかねません。日本人の「自制」の特性が裏目に出てしまうかもしれないのです。その前にできる限りの救援と心のケアを…。
多々困難はあるにせよ、政府も行政も民間も自衛隊も必死になって頑張っています。こんな時に揚げ足取りのように悪口を言う人もいますが、災害を政争の具にするような愚かな真似はやめて今こそ皆ができる範囲でさきることをしてあげようではないですか。どんな些細なことでもいいから。いや、心を寄せるだけでもいい。
「みんなで応援してるよ!」と。

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