相島の猫たち その2

前夜は博多に住む写真仲間と夕食を共にしました。
いささかアルコールが入ったせいでさすがに早起きはつらく、昨日よりも一便遅い船で相島に向かうことにしました。
「曇り時々雨」という天気予報。一応折り畳みの傘を持って…。

昨日の朝一便とは打って変わって乗客数は少なかったです。やはり釣り人は朝一の便に集中するんですね。
渡船場の周りには何匹かの猫が。

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みんな人馴れしているようで、観光客の後をついて歩いたりしています。おそらくこの近くでゴハンをもらっているのでしょう。

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9:20発の船で相島へ。
島に着くとパラパラと小雨が降ってきましたが、気にならない程度。傘も要りません。
時折薄日が漏れたりして、予報ほど悪いお天気ではなさそうです。むしろ写真撮影にはこのほうがラクではあるんですよね。影を気にしないでいいから。曇りの日には曇りの日なりの落ち着いたトーンの絵になりますし。

風も弱く波も比較的静か。
釣り人の方々にとってもいいコンディションと言っていいのでしょうか。
港で仕掛けの準備をしている釣り人の周りに猫が集まってきました。

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この様子を見ると、どうやらこの子たちはしょっちゅう釣り人から釣果の「おこぼれ」をもらっているようです。
でもまだ「準備中」だとわかると「なぁんだ、まだこれからか…」とばかりに一匹また一匹と離れていきます。ゲンキンですね。(^^;
でも一匹だけシツコク居座っている子が。

「まだかニャ~」

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その姿が可笑しくて、シャッターを切っていると突然こっちを振り向いて。

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キミに言われたくないんだけど。(^^;

漁港の周りで憩う猫たちを座って撮影していたら…

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いつの間にか私の膝の上に仔猫たちが乗ってきました。

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もう一匹が膝から腕を伝って肩によじ登り首にまとわりついて「猫エリマキ」に。今朝はちょっと肌寒いくらいだからちょうどいいですけどね。しばし「仔猫まみれ」。(^^;

昨日同様、仔猫をたくさん見ました。生後3~4ヶ月の子が多い。6月から7月初めくらいの間に生まれた子でしょうね。

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昨日も会った兄弟猫。仲良く抱き合ってお昼寝。今日は日差しがない分昨日より寒く感じるのでしょう。

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そこへもう一匹の子がやってきて…。

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頭を割り込ませるようにしてくっついてお昼寝に加わります。三兄弟だったんだね。

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そんな様子を通りかかる島の方々は微笑みながらチラリと見ていきます。
人と猫が共生していると言われる相島。
ただこの「共生」という言葉の意味を誤解している人が多いようです。

人と猫との共生。
それは「ベタ可愛がりして手厚く保護する」という意味ではありません。
本来人と猫があるべき姿、というよりも「ありのまま」を互いに受け入れるということで成り立っているのがこの島の「共生」です。

今の時代、猫は単なる「愛玩動物」としか見られなくなってしまいました。でも本来は猫にせよ犬にせよ、ヒトにとって役に立つ動物であるから飼育され始めたのです。犬は狩猟犬あるいは番犬として、そして猫は穀物や漁具などをネズミから守る用心棒として。そしてその見返りに猫も犬もエサをもらっていた、これが飼い猫・飼い犬の起源。人と猫・犬は互いに依存しあう関係だったのです。だからこそ長年の間、良好な関係を保ってこられた。
犬が吠えても、あるいは猫があちこちで爪とぎをしたりフンをしても「犬や猫はそういうもの」だと皆が受け入れていた。多少の文句を言う人はいてもまず大目に見てもらえた。昭和の時代の東京下町もそうだった。

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しかし近年になって番犬の必要性が薄れ、猫に頼らずともネズミを駆除できるようになるとこの良好な関係は崩れ、犬も猫も単なる「ペット」としてしか見られなくなってしまいました。だから外で暮らす猫は次第に白い目で見られるようになり、部屋の中で飼っている犬が吠えたというだけで「うるさい!」と近隣から苦情が出る世の中に。犬の鳴き声で近隣殺人まで起こる始末。

かつてあれだけ猫や犬に恩恵を受けておきながら、いざ代わりに役に立つものが現れたとたんに手のひらを返したように冷たくなった人間…なんと身勝手な種族であることか…。
こと犬や猫に限りません。稀少だからといって保護した野生動物が増えると今度は「増え過ぎだ」と言って「適正数まで減らす」と駆除を始める。ヘビを駆除するために持ち込んだマングースが増え過ぎたからと言って慌てて駆除するに至っては後先考えずに行き当たりばったりでやってるからなお始末が悪い。

人間も自然の一部なのにそれを忘れて「我こそが全知全能」と言わんばかりの人間の思い上がり。他の動物に助けてもらって今がある、ということを忘れてしまった現代人。いつか罰が下るような気がしてなりません。

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この島では…かつての「あるがまま」の猫とヒトとの関係がまだ生きていました。
エサはあげるけど必要以上にチヤホヤしないし干渉しない。本来漁で出た魚のアラや残りものなどが彼らの主食であり、今もそれは続いています。さすがに以前に比べれば人口も減り漁も少なくなったため島の方々もカリカリなどを与えるようにはなってきているようですが。
本当の意味での「共生」というのはそういうことではないですかね。未だにネズミ対策という点ではこの島の猫たちは「現役」のようです。漁網を破るネズミというのは漁師さんにとって頭の痛い存在ですから。
ある漁師さん曰く「いくら道具や薬があってもさ、ネズミ捕りとなったらコイツ(猫)には敵わないよ。なにせ天敵だから(笑)」
これだけ猫がたくさんいたらネズミは絶滅してるんじゃ?と思いますが、実際には集落を離れた山の方にはノネズミがわんさかいるそうで

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「猫カフェ」の野外拡大版が「共生」だと勘違いしている人にはぜひこのことを知ってもらいたいですね。
もちろん、猫は室内で人に可愛がられることが一番幸せだということには私も意義ありません。でもそうした猫たちはほんの一握り。外で暮らさねばならない猫たちは、そこに暮らす近隣の人たちによって運命を左右されるというのが厳しい現実です。そういう意味ではこの島の猫たちは幸せだといえるかもしれません。

考えてみると「猫島」と呼ばれる島の多くが高齢化が進んだ島であるというのもこれとは無関係ではないかもしれませんね。なぜならお年寄りの人たちは皆猫と「共生」していた時代を知っているから。

だから…この島、いや佐柳島や田代島といった他の島を訪れる人たちにもお願いです。住民と猫との良好な関係を台無しにしてしまうようなことはしないでほしい。猫を追って家の敷地に入る、あちこちでカリカリをバラまいて後始末もしない、家々の間で高い声で猫を追い回す…。「猫がたくさん居るからこんな目に遭うんだ」というような声が上がるようなことにならないように。

さてこの仔猫がオモチャにしているのは…。

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カマキリです。
あわれ狙われたカマキリ、前脚のカマを振りかざして必死に威嚇の態勢を取りますが…。

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まさしく「蟷螂の斧」。
さんざんオモチャにされたあげく…ご臨終。

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「つまんな~い。動かなくなっちゃった」
子供って残酷ですね~。手加減を知らないから。
まあ大人猫でも一緒ですけど…。

この島でも猫たちの縄張りは分かれていて、港の子、集落の子、そして海辺の道に暮らす子。

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それぞれが十数匹のグループに分かれているようです。

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ここの仔猫たちは黒っぽい子が多かったような。
大人猫たちの写真を撮っていたら、みんなで私のバッグを襲撃中。(^^;

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中に入っているものを取りだそうとしているのかと思ったらさにあらず。バッグのバンドにじゃれて遊んでいるんですね。あっちをガジガジ、こっちをガジガジ。
ちぎらないでね。(^^;

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このあたりでは午後になると住民の方が生ゴミを海岸に捨てに来ます。(人工物はないので投棄しても問題はありません)
すると、それを見た猫たちが我先にと岩場に下りて…。

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白波の立つそばまで行って残飯をあさります。

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港の集落を縄張りにしている猫たちとは違い、このあたりをテリトリーにしている猫たちは常にエサにありつけるという保証はありません。だから彼らは必死。

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さきほどまでの人懐こい表情とは一変して、厳しい顔つきに。
マスコミ曰く「猫の楽園」「猫の聖地」…でもそんなものは上っ面の代名詞でしかないというのがよく見て取れる光景でした。彼らは常に今日を生き抜くのに懸命なのです。程度の差こそあれ港の集落の子も、あるいはどこの島や町の外猫もそれは同じ。

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この仔猫も果たして次の冬を無事に越せるかどうか。頑張れ!

今日は14:00の船に乗って帰らなければいけません。17:00の飛行機に乗らねばなりませんから。

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乗船待合所の入り口で二匹の猫が。

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「もう帰るの?」

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また来るよ。それまで元気でね!

玄海灘の冬の風は冷たいといいます。
猫たちが身を寄せ合って耐える冬。
どうか次の春まで頑張ってまた元気な顔を見せてほしい。
桜の花が散った頃、またこの島を訪れてみたいと思っています。
いや、寒いさなかに「激励」に行こうかな…。

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この記事へのコメント

2018年10月14日 14:22
こんにちは、草凪みかんさん\^^/。
相島達、場わかって集まりますね。
達、安心居場所膝上に集まり
外ニャン居るまちって、昭和レトロの風景になってしまうんですか、共存するまち
2018年10月14日 16:10
子猫はかわいい、でも病気や、ケンカの怪我、が原因で死んでしまう仔も多いでしょうね。
普通にかわいがってもらっている飼いネコならすぐ、治療してもらえるし、予防もしてもらえる。
それが無理な島の猫たちは自由や親兄弟とずっと暮らせるという生活と引き換えに厳しい暮らしをしないといけないんですね。
ブームが過ぎると誰も見向きもしない島に戻ってしまうのかな?
2018年10月14日 19:55
おーちゃんさん
昔のように外猫が闊歩している町というのは本当に少なくなりました。特に新興の郊外住宅地では…。
「猫がいるのは当たり前」と感じる世代が少なくなってしまいましたから。
猫は家の中で暮らすのが一番幸せなのは間違いないですが、と言って外で一匹も猫を見ない時代が来るとしたら寂しいです。矛盾してるとはわかっているけど…。

コマダムさん
外猫は常にケガや病気、さらには暑さ寒さ、雨風というリスクと戦って生きていかねばなりません。
その年に生まれた仔猫が最初の冬を乗り切る可能性は2割から3割。言い換えれば70%以上が冬を越せずに命を落としてしまうという現実があります。
しかしこれはもう何十年、いや百年以上昔から続いてきたサイクル。エサはあげるけど必要以上に干渉しないという島の人たち。「あるがまま」…過度な保護はかえって猫たちを不幸にするということを知っているのかもしれません。
2018年10月14日 20:37
島の子猫たち
この冬無事に乗り越えてほしい
そう思っています。
「あるがまま」の猫とヒトとの関係
難しいけど
そうあるのが一番だと思います。
でも、今のご時世そうはいかないのでしょうね。
2018年10月14日 20:39
こんばんは。
人間が一番勝手な生き物ですよね。
もう天罰が下りかけているような気がします。
このところの天災が、もしかしたらそうかしら?
なんて思ってしまいます。
それにしても子猫の多いこと!
草凪みかんさん、ここでも大人気!
かばんもね♪
いいもの入ってるのが分かるのかな?
「優しさ」が入ってるんだよ~^^
2018年10月15日 00:04
あらら、子猫たちが。。。
愛ちゃんに怒られないかしら( *´艸`)
島の猫たちは自由でもあり、不自由であるもありますね。
いったいこれから来る冬をどれだけの子たちが越えられるか。。。
そっと見守るだけしかできません。
不自由でも、人に飼われていた方が長くは生きられますね。
2018年10月15日 21:56
みるくっちさん
互いに自然に、あるがままに…。
これ、都会ではまずむりでしょうね。現代では。
最近は人間同士でさえ互いの殻に閉じこもって、自分に口当たりのいいことを言ってくれる人としか触れ合おうとしない傾向があります。
近隣の「隣組」的感覚が薄れてしまって近所づきあいすらも敬遠する人が増えちゃった。
淋しいことです。

TAMOさん
天罰、下ってますね。
昨今の異常気象の原因作ってるのは間違いなく人間だから。今更ながらに慌てふためいて…ホントに愚かな生き物ですよ。情けない。
ここでは一部の猫に去勢避妊手術がされていますが、ほんの一部。だから仔猫も多い。
でもこれから高齢化が進めば、いずれもっと手術を進める必要が出てくるかもしれません。島には小学校はありますが、全校生徒数は一桁ですから。校舎は大きいんですが。
なぜか私のカバンは人気?があって。(^^;
カリカリは別に持っているので食べ物の匂いはないはずですが、どうやら遊び道具にちょうどいいようです。(^^;

猫ねこネコさん
島の方々はゴハンの世話はできても、寝床の世話まではできませんからね…。
短命でも自由な方がいいのか、長生きだけど制限された自由しかないのがいいのか。難しい問題ですけど、私は後者の立場です。ただ悲しいかな、すべての猫に里親がつくということは夢物語…。
九州から帰った後の週末、猫広場に行く時はジーンズは新しいのを履いていきました。島猫の匂いを感じ取られないように…でも愛ちゃんはちょっと不審そうに私の腕や指に鼻をつけて。まさか匂いは残ってないはずだけど。お風呂入ってるし…。(^^;

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